ベイスポ
2009年2月5日号 2-3ページ掲載、 写真+記事:小野真由子(フリー)
イギリスに暮らす
イメージコンサルタント 小畠利子さん
イギリスでイメージコンサルタントという仕事に魅了され、キャリアチェンジをした小畠さん。 人が生まれ持つ遺伝子に合ったイメージの持つ『力』などについて伺いました。
● 『イメージ・コンサルタント』とはどんなお仕事でしょうか。
あまり聞き慣れないですよね。私自身、当時勤めていた銀行のロンドン支店の行員としてイギリスに赴任して、初めて知りました。
イメージ・コンサルタントとは、お客様が本来お持ちの目や肌や髪の色、骨格を分析し、ライフスタイルや好みを考慮し、お客様が持つ理想のイメージを実現するのに適した色のトーンや服のスタイルを提案するお仕事です。コンサルティングの結果を踏まえて、ご自宅のワードローブの整理や、服やアクセサリーの買物などに付き添うこともあります。
● 一緒に買物に行くこともあるんですか?
春夏モノと秋冬モノと、年に数回ご一緒するお客さまが多いですね。お金を払ってまで、と抵抗を感じる方もいらっしゃると思うのですが、自分に本当にあったものを選ぶことで、一度も着ずに捨ててしまうなどの失敗がなくなり、結果的には節約になると思います。また、時代遅れの服や体のラインに合わない"タンスのこやし"を整理する良い機会となるので、スペースの節約にもなります。
● この仕事を始めるきっかけは何だったのですか?
ファッションに対しては元々、雑誌を買って読むくらいの人並みに感心はありました。子供の頃は、母が縫ってくれたワンピースを着ていて、『次は、どんな色や柄にしようか』と母と一緒に布地を買いに行くのが好きでしたね。当時は短パン・Tシャツに象徴されるアメリカのロスに住んでいましたので、かなり浮いていましたけど(笑)。また、海外生活が長かった私は、どの文化にも100%溶け込めない自分に不安を感じることがありました。そんな自分に『自分は自分のままでいいんだ』と自信を持たせてくれたのが、カラー・コーディネートです。その当時、通っていたスポーツセンターのカルチャー講座で、どんなに体調が悪くても純白やロイヤルブルーを身につけることによって、人に誉められる理由を知ったのです。
この発見がきっかけとなって、自分だけでなく、自分らしく生きたい方のお手伝いをしたいと思うようになりました。当時の日本では、まだ認知度が低く、趣味にとどめざるを得なかったのですが、この時の思いは10年近く頭の中から消えることはありませんでした。『夢に終らせずに、カタチにしなきゃ』という友人の言葉にも背中を押され、ロンドンで養成学校に通い始め、資格取得後もしばらくは、平日は銀行員、週末はコンサルタントと二足のわらじ生活でした。そして、03年に15年間携わった銀行業を離れ、開業しました。
● どんなお客様がいらっしゃるのですか?
開業当初は女性が圧倒的に多かったのですが、最近は男性の数が増えてきています。30,40代が中心ですが、下は17歳から上は90歳の方までと年齢の幅は広いです。『自分をより良く見せたい』という意識に年齢、性別、国籍は関係ないですからね。
いらっしゃる理由は、人それぞれです。『スマートカジュアル』というドレスコードに何を着ていけばよいのかわからない、といった方から、何を着てもパッとしなくなり、段々自信がなくなってきたという方、就職先がなかなか決まらない、同僚ばかりが出世していき自分だけが取り残されている、など、女性の場合だと、家庭に一度入って再就職しようとするタイミングで、また年齢にあった装いのアドバイスを求めて、いらっしゃる方が多いです。
● 年齢を重ねることで似合う色が変わることもあるのでしょうか?
髪の毛の色や瞳の色など、その人が生まれ持った遺伝子に合った色のトーンを選ぶので、極端な変化はありませんが、同じトーンの中で多少の強弱は生まれます。20代のときに着ていた派手な色をいつまでも着ていたらおかしい場合がありますし、歳だからといって、くすんだ色ばかり着ていると余計くすんで見えてしまう場合があります。
● 体のラインも変わっていきますしね。
出産や飲酒の習慣によってラインは変わるかもしれませんが、遺伝子が一生変わらないように、骨格自体は変わりません。従って、似合う服のスタイルやカットは変わらないのです。女性の骨格は、肩幅と腰骨を結んだ線で3タイプに分かれます。肩と腰のラインが同じタイプは、元ダイアナ妃に代表され、胸からお腹にかけてのウエスト部分が短いのが特徴です。足のラインに変化が少ない代わりに、このウエスト部分に肉がつきやすいので、それをカバーする必要があります。その他に、マリリン・モンローのようにウェスト部分が長いタイプと、その中間のタイプがあります。自分がどのタイプにあたるのかを知り、それに合った服のスタイルを選ぶことが大切です。
● この仕事のやりがいにつながる、印象的な出来事はありますか?
10年間病に苦しみ、やっと社会復帰することになった女性のお客様がいらしたことがあります。クローゼットを拝見すると、この10年間あり合わせの服で過ごしていたため、時代遅れのものばかり。また、足が太いという錯覚をお持ちで、スカートやドレスを執拗に避けていました。
イメージ・コンサルティング、洋服ダンスの整理、そしてパーソナルショッピングを経て鏡の前に立った彼女は、『本当に病気だったのかしら』と驚くほど魅力的で、エネルギーに溢れて輝いていました。足を見せることに抱いていた恐怖心もなくなり、『スカートを履いて歩いていたら、通りすがりの素敵な男性に "You look fantastic! Hope you have a nice dayと言われた" というメールを頂きました。自信を取り戻した生き生きとした彼女の姿が浮かんで、とても嬉しかったです。
● 最後に一言
イギリスのお客様の中でも日本人は数%程度と、イメージ・コンサルティングに対する認知度はまだまだ低いようです。日本人はブランドに頼る傾向が強いように感じますが、ブランドに自分を合わせるのではなく、ブランドを自分に合わせる意識が必要だと思います。自分らしさや、それをいかに良く見せる方法を知って、自分にもっと自信をもつきっかけに、コンサルティングを活用していただければと思います。
ドンヨリとした天気を吹き飛ばすような明るさでオフィスに迎え入れて下さった小畠さん。好きなことを仕事にしていることが、弾ける笑顔と自信溢れる表情から伝わってきました。『私に合う色は?』など色々とお聞きしたかったのですが、時間がなくなってしまい残念です。今度ぜひ、アドバイスをよろしくお願いします!
小畠利子(こばたけ・としこ)さん
東京都生まれ。幼少期に米国・ロサンゼルスに計10年間暮らす。慶応義塾大学文学部卒業後、シティバンクに入社。転職先であるスイス・ユニオン銀行(UBS)のロンドン支店に赴任となり、96年渡英。03年にイメージ・コンサルタントとして開業し、講師としても活躍中。
『何も言わなくても、あなたのイメージは語ります』という思いを込めた社名。イメージコンサルティングを始め、変身メイクや変身後の記念撮影などのサービスもある。
ご予約、お問合わせの方は以下までご連絡下さい:
Tel 020 3489 3319
Email toshiko@talkingimage.co.uk
以下のサービスを取り揃えています:
1) ラグジュアリーコース: トータルイメージコンサルティング(3時間)
トータルイメージコンサルティングは主な以下の4種類の分析を総合したものを指します:
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パーソナルブランディング
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パーソナルカラー分析
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ボディライン、スタイルの分析
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ワードローブパーソナリティ